千葉地方裁判所 平成7年(特わ)1974号 判決 1996年3月25日
一
本店所在地 千葉県習志野市茜浜一丁目一三番六号
法人名称
株式会社丸山工務店
代表者住所
同市袖ケ浦五丁目三番一九号
代表者氏名
山本三
二
本籍 新潟県糸魚川市大字根小屋一二三三番地
住居
千葉県習志野市袖ケ浦五丁目三番一九号
職業会社員
山本茂男
大正一四年一〇月二九日生
主文
被告人株式会社丸山工務店を罰金二〇〇〇万円に、被告人山本茂男を懲役一年に各処する。
被告人山本茂男に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
(犯罪事実)
被告人株式会社丸山工務店(以下「被告人会社」という。)は、千葉県習志野市茜浜一丁目一三番六号に本店を置き、建築基礎工事請負等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成三年一一月二四日以前は六〇〇万円)の株式会社であり、被告人山本茂男は、被告人会社設立時から平成二年一一月一日辞任するまでは同会社の代表取締役として、その後は同会社の実質的経営者として、同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人山本は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の外注加工費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 平成二年九月一日から平成三年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が六九二六万九一六一円であったにもかかわらず、平成三年一〇月三一日、千葉市花見川区武石町一丁目五二〇番地所在の千葉西税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一三七二万三七二五円で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二四七二万三九〇〇円を免れ、
第二 平成三年九月一日から平成四年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が二億〇〇三三万六〇三〇円であったにもかかわらず、平成四年一一月二日、前記千葉西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六五一〇万八五五五円で、これに対する法人税額が二四九六万〇九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七四〇五万〇一〇〇円と右申告税額との差額四九〇八万九二〇〇円を免れ、
第三 平成四年九月一日から平成五年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が八九五五万二七五四円であったにもかかわらず、平成五年一一月一日、前記千葉西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六二二六万六七〇六円で、これに対する法人税額が二三二万円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三二三九万二六〇〇円と右申告税額との差額九一三万二六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目・番号は検察官請求の証拠番号を示す。)
全事実
一 被告人山本茂男の公判供述、各検察官調書(乙1ないし3)
一 市川キヌこと千葉キヌ(甲33)、本吉幸子(甲34)、津田謙治(甲37)、山本美代子(甲38)、山本三(甲39)の各検察官調書
一 霜野雅子(甲32)、本間喜代治(甲35)、佐々木稔(甲36)、山本剛三(甲40、41)の各大蔵事務官調書
一 大蔵事務官作成の調査書(甲9ないし20、22ないし26)
一 検察事務官作成の捜査報告書(甲8、30)、電話聴取書(甲31)
一 登記官作成の商業登記簿謄本(乙4)
第一事実
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲2)、調査書(甲28、29)
一 確定申告書綴り一袋(平成八年押第八〇号の1)
第二事実
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲3)、調査書(甲27)
一 確定申告書綴り一袋(同押号の2)
第三事実
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲4)、調査書(甲21)
一 吉田信彦(甲44)、伊藤隆一(甲45)作成の各申述書
一 確定申告書綴り一袋(同押号の3)
(適用法令・刑法は平成七年法律第九一号による改正前の規定による。)
一1 罰条
被告人会社 法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により同条二項
被告人山本茂男 法人税法一五九条一項
2 刑種の選択 被告人山本につき懲役刑選択
二 併合罪の処理
被告人会社 刑法四五条前段、四八条二項
被告人山本茂男 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条
(犯情の最も重い第二の罪の刑に加重)
三 刑の執行猶予(被告人山本茂男)
刑法二五条一項
四 訴訟費用負担 刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条
(検察官中尾貴之、国選弁護人高橋馨 各出席)
(求刑 被告人会社 罰金二七〇〇万円、被告人山本 懲役一年)
(裁判官 半田靖史)